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2008年06月25日

6/21 toi「あゆみ」@アゴラ劇場

今年、30本目の観劇。

toi「あゆみ」
作・演出 柴幸男[青年団演出部]

<『演出』を意識させる演劇>

女優10人による演劇。

感想としては、手法を少し工夫するだけで
ずいぶんと目新しく見えるのだなと感心しました。

舞台はセットはなく、中央に大きな壁があり、
右端と左端から後ろ側に回りこめる形になっていました。

「はじめのい~っぽ」と、赤ん坊が立ち上がる場面から始まりますが、
やがて学生となり、大人となり…ストーリーだけ見ると
たいしたことはありません。
いじめにあったり、先輩に告白しようとしたり、
子供をつれて出かけたり、そんな感じです。

ただ、役者は(基本的に)右から左へと演じて動きながら消えていく。
左に消えてゆくとそれを演じていた“役”は
左から現れる役者に引き継がれる。
と、結構単純なんですが、けっこう見飽きない。

中央にいる役者が左へ消えていった人へ声をかける。
声をかけられた役者は右から出てきたり、なんて事も。

人類が進化していくかのように時間が流れるという感覚があって
単純なんだけど凄く効果的で面白いものでした。
時に走ったりすると、役者が順番に右から左へと駆け抜けていったりもし、
それは空間の制約を解放しているような感じでした。

1時間40分余りの演劇でしたが、1時間を越えたあたりで、
時間が巻き戻るかのように、左から右へと役者が流れ、
場面が過去へ過去へと戻ります。
そして再び、赤ん坊が立ち上がる。

これだけの長いタイムラインを演じるための工夫。
舞台という制約のある空間への挑戦。
それに対する解の一つが今回の演出なのでしょう。

それにしても、右を見たり左を見たりと首が忙しかった(笑)。
ある程度の役が決まっているとはいえ、
役者それぞれが複数の役を受け持ってるはずなので、
役者さんも大変だったのではないかと思います。

ストーリーよりも“演出”を観客に強く意識させる演劇でした。

投稿者 i_rain : 2008年06月25日 01:24

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