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2011年12月24日

TPPと著作権(2)自由にまつわるエトセトラ

著作権の問題の大半は契約でクリアできる。
このスタンスにおいて譲るつもりはない。

同人と言うかアマチュアリズムにおいては、一方で「自由」の問題がある。

が、これにおいても様々な問題の断層が存在しているように思う。

まず、「契約を前提としては自由な創作ができなくなる」という意見について。
そこでやりたい自由な創作とは何か。
それは契約の内容で処理できず、また著作者の権利に優越すべき自由なのか。
多くは語らないが、本来自由とは他の誰かの自由と衝突するものだ。
そこが処理できないものはいわゆるアングラなので、アングラらしくやっていくしかない。ナマモノみたいに。


次に、憲法上保証されている「表現の自由」について。
これについては、なんで議論の俎上からすっ飛ばされてんだか理解できない。
二次創作がまがりなりにも創作である以上、いきなり国家権力が介入してきたら、絶対に創作・表現の自由と衝突する。
その創作活動が二次創作であるかどうか、原著作者の許諾の有無を国が独自に判断することが現実に可能であるとは考えにくい。
許諾の有無なんて原著作者に訊かないとわからないのだし、じゃあ親告罪の時代と何が違うのだろうか。
逮捕・起訴してから被害者に犯罪事実の有無を確認しにいくなんて楽しいこと、警察も検察もやらないよ。公判が維持できない。

あとねえ。
これ打撃食うのは、マンガよりもアニメの二次創作とか、マッドとかヒップホップ文化だと思うよ。
アニメは映画の著作物だから元々製作会社のものだし、レコード音源は著作権とは別の権利が認められている。
出版社との契約において翻案権を譲渡していない限り、原始的に二次創作に関する権利は作者が持っているマンガの場合とは事情が違って、企業が自分の権利侵害の有無を判断できることになる。


で。もうひとつ。
これは根源的な問いになるが、二次創作を行う人には、それをしない自由もある。または、あった。

たとえば、表現されていないものとか、創作的でない表現は、著作権で保護されない。
だから、高校の運動部でライバルとマネージャーと三角関係、という話が乱立しても、別にそれ自体は何らの違法性も形成しない。

あたかもその自由すら無いかのように言うのは、やっぱりフェアな姿勢とは言えないように思うのだが、どうだろうか。

投稿者 ushila : 2011年12月24日 16:33

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