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2012年06月22日

4.パロディ規定の創設

パロディに関して著作権法に規定を設けようという動きもあるようです。
パロディを規制するものではなく、逆にパロディについて一定の範囲で自由利用(権利制限)を認めようという話であると基本的には理解するべきでしょう。

パロディの辞書的定義には、原作品への批評と(社会)風刺が含まれるそうで、日本における典型例は「日本以外全部沈没」あたりでしょうかね。
あと、寺山周司が「さよならだけが人生だ」に対して、「さよならだけが人生ならば」と詩を書いてますね。
ああ、「いんでっくすたん3(まさかのイカデックス公式化)」は、インデックスとイカちゃんが似ていると騒がれている状況を逆手に取ったパロディと言えないこともないかな。ライセンスどうしたんだか知りませんが。
ニャル子さんとかで他作品のセリフや固有名詞を連呼するのとか、「オタクの会話をカリカチュアライズする」意図と解釈すればパロディとして成立するのかね。

で、そういう辞書的定義からすると、日本でパロディと呼ばれているもののほとんどは他だの二次創作です。
契約の有無の違いはありますが、漫画や小説のアニメ化や、それにともなう話の筋立ての変更・オリジナルエピソードの追加などに、性質としては近いものと言えるんじゃないかと思います。
むしろ最近同人業界?は、パロディという言葉を使うんですかね。

で、「広義のパロディ」なんて言葉で、無許諾の二次創作全般をいったん括ってから議論しようとしているようで。
官僚や学者が言葉の意味を拡散させてどうするんだよ。
と、個人的には強く思うのですが。

さて。前にも書きましたが、フランス著作権法にパロディの規定が一応存在します。
でも、「該当分野の公正な慣行に合致すること」って書いてあるんだよね。
パロディなら何でもオッケーなんじゃなくて、業界のルールや過去の裁判例なんかを考慮した上でやりましょう、と。

「公正な慣行に合致すること」っていうのは、アメリカ法のフェアユースの要件や、日本法でも「引用」の基準として使われる考え方と同じです。
日本版フェアユースとやらがいささかポシャり気味なので、その一部の要素を拡大したつもりなんでしょうか?
フェアユースよりは日本法に接ぎ木することに無理がない考え方だとは思いつつ、条文はすごくふんわりするかすごく窮屈になるか、どっちかでしょう。

いずれにしても、そこにはOKなパロディとNGなパロディができる、というだけのように思います。
ピースちゃんがアへ顔ダブルピースしてるような薄い本とか、やっぱり無理があると思うんだよね。
それで、NGとされちゃったパロディは、今より厳しい立場に置かれるだろうことは、想像に難くありません。
しかもコミケの開催日別の入場者数とか見るに、NGなパロディとされそうなものほど、ニーズは高いと。


だからと言って「今の状況がベスト」だとか言う権利者とも意見が相容れませんが。
むしろ二次創作に積極に許諾出すとか、東方がそんなに偉いなら東方みたいにガイドラインを定めるとか、そういうことをしてみろと。
出版社も「腐女子さんたちのおかげで漫画が売れるのでBL二次創作は原則OKですが、痛そうなのとか止めてください」とか言っちゃえばいいんだよね。

逆を言えばそれができるのも著作権者なのですから。
そしたらこんな規定必要ないぜ。

投稿者 ushila : 2012年06月22日 21:26

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