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2008年01月26日

我ながらムチャなテーマ選び。

総括:モーニング娘とは何か。
誰もやってくれないから自分でやっちゃうぞ。

何だったのか、と書くにはまだ抵抗がある。
娘。の現在像、というものを正確には把握していないが、まだ世間様のように「終わった」と書きたくない。
そんな心境だ。

いわゆる「イケてた」時期の娘。は、アーティストの成熟とプロダクト側の作家性がうまくかみ合っていた、という話は、すでにした。
しかし、娘。を娘。たらしめていた要素は、他にもあるような気がする。

まずそのあたりを書いてみようと思う。

●作家性
 娘。の特徴には、楽曲のバリエーションというものがある。
 わりとフツーのポップスから、R&B(ことごとくコケたけど)、代名詞ともいえるお馬鹿(いい意味で)ファンク・お馬鹿ディスコ路線、さらに80年代ロック、メロコアと、「何でもやる」グループだ。
 (タンポポ、プッチモニ、ミニモニという、往時の派生ユニットを加えれば、その「何でもやる」の幅は、さらに広まる)

 で、その「何でもやる」には、単に作詞・作曲家たるつんくだけでなく、「恋愛レボリューション21」や「ここにいるぜぇ!」あたりに高難易度、高運動量のダンスを放り込む夏まゆみ、「ザ☆ピ~ス」のバックにやたらいい音のホーンを鳴らしてしまったりするダンス☆マン、「乙女パスタに感動」「恋をしちゃいました」あたりの(当時の娘。基準では)異常にカッチリとしたポップスとしての構成、そしてPVなど、各パートを受け持つ職業作家の作家性、というものが含まれている。

 その、「大のオトナ」が、年端も行かぬ娘。さんに小難しいもの(難易度と、受け手が「理解できるか」という側面と)を散々ぶち込んで「アイドルポップスでございます」ヅラして売っていた、ということは、ものすごい出来事だったと何度でも言う。
 小難しいものを散々ぶち込んで「アイドルポップスでございます」ヅラして売る、は、ある意味その後のハロプロ全体としての路線を決定付けたとも思う。松浦の楽曲難易度(半音の上がり下がりがやたら多い)とかも、商業的に必要だったかと言われると疑問だ(笑)。


●アーティストの成熟
 娘。は、もともとスキルが要求されるグループではなかった。と思う。
 ドラマ性(後述)の演出としての合宿・特訓という制度は存在したものの、たぶん「I wish」あたりまでは、すごく難しいことをやらせているわけではなく、裏っかわでオトナたちが勝手に難しいことをああだこうだとやっていた、という傾向が強い。
 (「LOVEマシーン」が今見ると野暮ったいのはもちろん、「真夏の光線」なんか典型じゃないかな)
 で、それが変質したのは「恋愛レボリューション21」あたりなのではないかと思う。
 当時はまだ中澤裕子がいて、4期が機能しだした時期(「ハピサマ」「I wish」あたりの使われ方を見直すと良い)だから、ここで一回娘。のスキルは頂点になっている。というところまでは、言ってもいいんだろう。
 その後の娘。にも、難しいことをやらせている時期とそうでない時期というものが存在していて、大まかに言うと新メンバー加入直後と「こなれてきた時期」に、大体パラレルなように思う。


●ドラマ性、または物語性
 「試練」「合宿」「特訓」「教育係」というスポ根的ギミックが、娘。にとってひとつの柱であったということも、また事実だろう。
 本来それは見せなくてもいいもので、ハロプロ内でも後発のタレントではそれを見せていなかったりするわけだが(キッズさんたちの化けっぷりを見ると、それはそれは厳しい育成をされているように思うんだけども)、
  ・紺野加入当時のダメっぷりとそれを見るファンの妙な熱視線
  ・ガキさん加入当時の叩かれっぷり(ごめんホントごめん)
  ・6期加入オーディション合格発表で、
   田中が軽く握手して通り過ぎようとしたのを飯田さんがぐいっと引き寄せて目を合わせたたシーンへの
   ファンの異常な期待感
  ・魁!新垣塾のウケっぷり(鬼コーチ新垣、というギミックはすごかったらしい←見てない)
 などを思い出すにつけ、わりとそこにあるニーズは大きかったんだなあ、と思う。

 最近の娘。を見ていて、ガキさんとか亀井とか道重とか見ると、それなりに「伸びしろ」がある人を採ってるんだなあ、と思うんだが、娘。として求められることの難易度と絶対量(基本的には10年分のシングルを覚えなければならない)が増加した結果、成長にかかる時間は長くなってると思うし、そこを見せる仕掛けは、明らかに弱くなっている。
 ハロモニはゆるいコントやらせてゆるいゲームやらせてメシ食わせるか食えなくて泣かせる番組だったし。


さて。
その後の娘。のトホホぶりについては、書いてみたら泣けてきたので大いに割愛するとして、その理由は様々にあるのだろう。
ただ、たぶんひとつひとつの事象・理由は独立して存在するものではなく、「娘。のトホホぶり」と言う構造の要素(表象または記号)なのだろう、とも思う。

そうした事象のカタマリが、モーニング娘。を「旧構造の遺物」として、後続のアイドルグループにとって格好の仮想敵または対立概念になり、またはシェアを奪うべき対象にした。

そういう意味では「劇場でいつでも会えるアイドル」を標榜するAKB48、「近未来テクノポップアイドル」perfumeも、娘。を研究し、咀嚼し、その成功要素の一部を取り出した存在だと思うし、さらに言ってしまえば娘。の構造から生まれ出たものであるように思う。
だから前述のとおり、ハロプロとの比較でperfumeを持ち上げる表現には違和感を覚えるのだ。

そして、娘。自体も、日本のポップスという歴史の中から生まれ出た存在であることは間違いない。
(そういえばつんくが「過去の女性アイドルグループはすべて失敗例。だから、娘。は過去のアイドルグループを参考にしない」と言っていたインタビューを、過去の自分の文章の中で引用していたことにこないだ気が付いた)

かつて、
「世界中の映画は、ハリウッド映画の模倣、またはその対立概念として存在してる。
 そういう意味では、イタリア映画もフランス映画も香港映画も、すべてハリウッド映画だ」
というような言葉を聞いたことがある。

同じことを、自分自身「小室サウンド」全盛の時代に(半ばそれに抗う自分への揶揄をこめて)言った記憶がある。


結論。
娘。は「日本大衆歌曲史」に、アレとかソレとかと一緒に、厳然とした1ページとして刻まれねばならない。
(アレとソレには、お好きな言葉を入れてください。
 EAST END×YURIなくしてRIP SLYMEもケツメイシもないと思うんだ。つねづね。
 あとなんだっけ。早坂好恵とスーパーモンキーズなくして安室奈美恵もSPEEDもなし?
 他にもバンドブームとかガールポップとか(自爆気味))

もはやリビング・レジェンド。馬場対ブッチャー。何が悪い!?

投稿者 ushila : 2008年01月26日 04:29

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コメント

うーむ。
娘。はその役割を終えた、って書いてないか? 俺?

投稿者 ぜんこうじ : 2008年01月29日 09:34

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