« 鍋で… | メイン | いまごろあけまして »

2006年12月19日

12/16 青年団第52回公演 ソウル市民三部作@吉祥寺シアター

2006年度の駒場アゴラ劇場支援会員制度を利用してみてまいりました。その21~30は飛ばして、その31/32/33。

「ソウル市民」「ソウル市民1919」
「ソウル市民 昭和望郷編」

作・演出:平田オリザ

日本の植民地支配下にあったソウルの日本人一家を描いた物語。
「ソウル市民」- 1909年
「ソウル市民1919」- 1919年
「ソウル市民 昭和望郷編」- 1929年
ソウルに住む篠崎家の1909/1919/1929年の物語を描いた3部作です。

1909年、「韓国併合」を翌年に控えた前年から物語は始まります。
戦争などの戦いを描いたものではなく、
ソウルに住み文房具店を経営する一家を描くことにより、
この時代の“根”を暗示するかのような感じでした。
一家には日本人はもちろんのこと、朝鮮人女中もいます。
“支配するもの”“支配されるもの”といったあからさまな関係はなく、
むしろ‘表面上は’陽気な場面もある物語でした。

ところがそうであっても、不安定な関係が両者の間に確かに存在し、
それを意識させる科白が何気なく発せられるたびに、
ほんの少し戸惑いが漂うような雰囲気でした。
勧善懲悪とは対極をいくような素朴さではありますが、
埋められないもの/解けないものが常に存在するような印象でした。

日常をそのまま切り取ったかのような印象は素朴ではありますが、
見ごたえ充分でした。

パンフレットもよく出来ていて、時代背景や平田さんの考えが
わかりやすくて、なかなか読みごたえもありました。

「ソウル市民 昭和望郷編」は2月に再演されるので、
もう一度観ようと思います。

投稿者 i_rain : 2006年12月19日 22:57

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.torihan.com/mt/mt-tb.cgi/684